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企業で働く弁護士の研究ノート

タイ法務で欠かせないリサーチツール

 

企業情報のデータベース「CorpusX」

 タイでは、法務などリスク・マネジメント業務を行う上で必須のツールがあります。「Corpus X」という名前の企業情報データベースです。

 このデータベースは、タイ政府が管理している企業情報を英語で閲覧できるようにしたものです。タイでは豊富な企業情報が政府(※1)に登録されているので、Corpus Xを契約すると様々なリサーチが可能です。有料ではありますが大変便利で、リスクマネジメント系の業務には必須ツールです。

「CorpusX」https://corpus.bol.co.th/home/

「CorpusX」で調べられる情報

株主情報

 タイの企業は、会社設立時はもちろん、株主変更があると政府に提出する義務があります。そのため、タイの企業については、株主が誰で、何%の株式を保有しているかを調べることが可能です。

財務諸表

 タイの企業は、毎年、株主総会で承認した監査済みの財務諸表を政府に提出する義務があります。

 期末から数か月のタイムラグがあるものの、ほぼ全ての企業の財務諸表はCorpusXにアップロードされて閲覧できるようになります。

 CorpusXでは、貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)の過去5年間の推移をみることが可能です。

その他一般情報

 住所、取締役、組織形態など、企業のその他一般情報も閲覧できます。

 

「CorpusX」の使い方

① 取引先の資本構成を調べる

 CorpusXを使うと企業の株主情報がとれますので、取引先企業の資本構成を調べることが可能です。たとえば、タイでライドシェアなどを運営しているGrab Taxi社を調べてみると、以下のような資本構成であることがわかります。

 

 

 外資規制による制約を受けないタイ法人となっていますが、間接持分を含めると71.6%がGrab本社(シンガポール、登録上はケイマン)に保有されていることがわかります。

② 取引先の財務状況を調べる。

 上述のとおり、Corpus Xでは企業の貸借対照表(B/S)と、利益計算書(P/L)の5年間の推移をみることができます。

 このデータを分析することで、取引先企業の財務安全性、支払い能力などを調べることができます。

 その企業にどのくらいの売上を上げて良いか、などという与信管理の仕事では、こういった財務情報データが重宝されます。

 

※1 タイの企業情報は、商務省(Ministery of Commerce)の事業開発局(Department of Business Development、通称DBD)が管理している。