Legal Libraryでジュリストがみられるようになったので、さっそくジュリスト3月号の特集/コンプライアンスの最前線をチェック。
座談会のメンツがすごいだけあってたいへん勉強になりました。
コンプライアンスを形骸化させないためのヒントが満載です。
Legal Libraryさんありがとうございます!
「コンプライアンス」とはどんな仕事か
コンプライアンスの仕事は、「仕事の起点」が法務部/コンプライアンス部にあるところに特徴があります。
一般的な法務(事業法務)の仕事とは、この点が違います。
事業法務の仕事は営業部/事業部からの相談を起点にスタートするのに対し、コンプライアンスの仕事は、法務部(コンプライアンス部)が仕事の起点となります。
そのような仕事の特徴のせいか、コンプライアンスの仕事は「型がない」「何をすればいいかわからない」となりがちです。結果として、日本企業の現状は、型にはまったルール作り、社内規程づくりに終始してしまっている会社が多いようです。
「コンプライアンス」を形骸化させないために
ジュリスト2022年3月号の座談会では日本企業のコンプライアンスについて以下のような手厳しい指摘がなされていました。
- 「コンプライアンスというのは単に研修だけをやっていて、結局は変化対応力のあるリスクマネジメントを統括する部門がない」 (國廣氏 21P)
- 「ルール作り係りみたいなものになってしまっている」 (國廣氏 27P)
- 「結局過剰な仕事がいっぱいになって、あっぷあっぷでリスクが管理できない」(野村氏 28P)
- 「自分の立場を守るため、アリバイ作りのためのルールを作ってしまう」(佐々木氏 28P)
では、コンプライアンスの仕事のあるべき姿はどのようなものなのでしょうか?
座談会のメンバーが各自の経験に基づき、あるべきコンプライアンスについてそれぞれのご意見を述べておられていました。自分なりに刺さったキーワードをピックアップしてみると、
- 「司令塔」「中枢神経」「世のなかの変化に対する情報収集及び判断、決断、実行」(國廣氏 25P)
- 「リスクという前の英語でいうとissue」に取り組む(佐々木氏 25P)
- 「一線自身がアンテナを立てるようなマインドを持たせる」(國廣氏 27P)
- サイロ化するのではなく、「正に広がっていく仕事をやる」(國廣氏 27P)
- [不定型なリスク、ムービングターゲットを追いかける」 (國廣氏 29P)
- 「世のなかは、やはり社会、ステークホルダーがいて存在しているわけで、それがどんどん変わっていく、ではそれがどういうインパクトを自分の組織に与えるのかというのを絶えず考える必要がある」(佐々木氏 30P)
- 「健全な領域侵犯をする」(國廣氏 30P)
コンプライアンスの担当者って、社内に閉じこもっている印象があるかもしれません。そうではなくて、むしろ社外、世間と積極的につながりをもち、ダイナミックな動きをすることが期待されているということですね。
「コンプライアンス」で何をやるか
このジュリストの記事を読んで、コンプアイアンスの仕事のファンクションをどう定義するか?が決定的に重要であると感じました。
コンプライアンスを「法令遵守」と考えた瞬間、仕事の中身はルール作りになります。そうではなく、コンプライアンスのファンクションを
「世のなかの情勢・ニーズをふまえ、自社で対応べきイシューを特定し、自ら営業部/事業部に主体的に働きかけ、彼らのマインドセットや行動に変化を起こす」
としてとらえたい。イメージでいうなら「開かれたコンプライアンス」です。
インプット(世の中の情勢。ニーズをつかむ)→仮説立案→仮説実行に分解し、コンプライアンスの機能を強化していこうと思います。