企業法務をアーキテクトする

企業内弁護士を、楽しく、やり甲斐があり、報酬にも恵まれた職業とするために試行錯誤する研究ノートです

リモート・インハウス

先日、オフィスでメールアドレスを開くと、東京国際法律事務所さんが、月額固定額報酬体系でリモートインハウスサービスを提供されるというプレス・リリースを出していました。

TKI リモート・インハウスサービスのご案内 | 東京国際法律事務所

実は、私の会社でもちょうど他の法律事務所と同じようなスタイルの契約を始めようとしています。

顧問契約と何が違うのか?といえば、外部の弁護士が、優秀なインハウス弁護士であるかのようなバリューを提供する、というコンセプトでしょう。このスタイルは、けっこう流行るんじゃないかと思います。企業のニーズにマッチしているし、弁護士側もけっこう高い金額の報酬をとれると思うからです。

優秀な法務部員の採用は難しい

まず、企業側の事情として、ここ数年、優秀な法務人材の採用に大変苦労しています。法務人材マーケットが拡大しており、年々、採用の難易度があがっているように感じます。

inhouselawyer40.com

上の記事で書いた「優秀な法務部員」のようなパフォーマンスを2・3年で出してくれる人を企業は求めています。しかし、そんな人はどこにいても重宝されるため、簡単に採用できません。

リモート・インハウス

企業側がかかえる採用面での課題は、法律事務所からみれば「ニーズ」です。従来、法律事務所は「出向」「常駐業務委託」スキームでニーズを満たしてきました。しかし、出向スキームにはいろいろと問題があります。

  • 法律事務所(弁護士)からすると、フルコミットとなり、他の仕事ができない。
  • 企業側は仕事の発注がノルマとして求められる。
  • 1年くらいの出向では重要な仕事は任せられない

オフィスへの出社が前提だと、出向・常駐業務委託とせざるをえません。しかし、コロナ禍でこの前提が変わりました。正社員であっても、全員会社にくるわけじゃないんです。法律事務所に所属していている弁護士でも、やり方次第では正社員のように働くことはできます。「インハウスの採用にお困りであれば、法律事務所の弁護士をインハウスのように使いませんか?」 これがリモート・インハウスサービスのコンセプトでしょう。

報酬は?

ここで、月額固定報酬はどのように決まるでしょうか?

ユーザー(企業)の立場からすると、リモートインハウスサービスは、「優秀な法務人材」の採用の代わりです。だとすると、インハウスを採用した場合の報酬と比べることになります。企業側が優秀な法務人材を採用するにはいくら必要でしょうか? この答えは各企業が法務人材に求めるレベルによって変わるはずです。最低でも年収600万円は必要でしょうし、場合によっては年収1400万円くらい必要かもしれません。

そう考えると、リモートインハウスサービスは、月30万、50万、70万、100万、、そんな金額になるでしょうか。

比べる対象をかえることで、一般的な弁護士の顧問料よりは大きな金額を請求することができることになるでしょう。

 

リモート・インハウスの活用法

リモートインハウスは、優秀な法務人材採用の代替というコンセプトですから、社員を採用したときと同様に、担当者にはブリーフィング、オリエンテーションを行うつもりです。グループ会議などにも出席してもらいます。優秀なインハウス法務担当としてのパフォーマンスを求めている以上、企業・業界特有の情報は企業側からしっかり提供していく必要があるでしょう。

 

その意味で、このコンセプトのサービスの場合で報酬体系をタイムチャージ制にすることはあり得ないと思います。リモート・インハウスが上手く機能するかどうかは、担当者が正社員と同じくらいのレベルで情報をもっていることが肝になります。タイムチャージ制として企業側が情報提供にかける時間をためらうようではワークしないでしょう。

企業と法律事務所はボーダーレスとなる

リモート・インハウスが普及すれば、企業と法律事務所の間の垣根は低くなりボーダーレスとなっていくでしょう。今までは不必要に企業の「中」と「外」が区別されてきたような気がするので、もう少しボーダーレスとなると、企業・事務所双方がハッピーになると思います。これから数か月でリモート・インハウスをうまく軌道にのせるよう頑張ります。